ファローの話                    

ファローにはいくつかのタイプが知られています。イングリッシュ,ジャーマンが一般的であとスコティッシュがあり,3タイプとも常染色体劣性遺伝子です。このうちジャーマンは一つの遺伝子座に複数の遺伝子がある複対立といわれていましたが修正されました。
伴性遺伝子のイノ,オパーリン,シナモン等のそれぞれの遺伝子が複数の遺伝子座にあっての連鎖遺伝である,イノとシナモンのレースウイングやイノ,オパーリン,シナモンの連鎖なども赤目が想定できますが,フアローの概念から除外されました。また,イノとオパーリンも連鎖が起こっていると想定できますが,特有の発現が見られないようで品種として今のところ報告されていないようです。
常染色体劣性遺伝子の赤目の鳥に非伴性イノ遺伝子の存在がありますが,ファロー遺伝子とは違う遺伝子であることが明らかになっています。
ファローの名前の由来は英語の形容詞で,淡黄色の,淡褐色の,淡灰褐色のという意味があり,黄色系がファローになった場合の色調に由来しています。
ファローはすべてのタイプの目が赤く,メスの蝋膜はピンクと茶色で脚はピンクとされ,ジャーマンにはアイリスがあり,イングリッシュ,スコティッシュにはアイリスが無いとされています。
ファローのチークパッチは基本的に紺色とされますが,組み合わされる(この場合,多因子遺伝で多遺伝子が同時発現する)形質,たとえばクリアウイング,グレーウイング,ダイリュウート,バイオレット,ダーク因子の導入系などは淡青色〜灰青色になったり,普通のファロー(ノーマルファロー)ではかなり濃いグレーの発色になります。また,シナモンファローと似ている連鎖のレースウイングは,チークパッチが淡いシナモンで違いが分かるようですが,最後は劣性か伴性かを調べるしかありません。
ファローのバリエーションを実際に作ってみると,たとえば,クリアウイングにした場合としない場合,バイオレットを入れた場合と入れない場合,イエローフェースにした場合と,ゴールデンフェースにした場合,ゴールデンフェースがヘテロとホモの場合,などなど,其の他遺伝子構成は同じでも,外見的にはかなり違った感じになり,このことがファローに対する印象を複雑にしているのだと思います。
幸運にもファローと思われる固体を得られた多くの飼育者が,赤目同士と言うことでイノと交配してしまうことが多く,せっかく常染色体上にファロー遺伝子がそろっても,上位のイノ遺伝子が発現してファロー遺伝子をなくしてしまうことがあります。
                                       (談:河端寛司氏)

                  (河端寛司氏のファロー達)

あなたはシナモンファローの繁殖をなさっているのですか?
FM:はい、偶然に。
ジャーマン、イングリッシュ、そしてオーストラリアンシナモンファローというのは、体色やマーキングがシナモンとは違い、又色合いや背翼面の色などもファローとは違うと思います。シナモンファローの見た目は、イノの”独占的な色”にとてもよく似ています。
背翼面の斑紋はとてもとても薄く、しかしシナモン色と言える、はっきりとしたライ
トブラウンです。シナモンファローはとても珍しいので、ノーマルファローと間違えようがないはずです。しかし、Nestfeather達のノーマルファローは、シナモンイノのレースウイングと間違えられる事があります。
以下の項目をよくチェックして、レースウイングとノーマルファローとの区別をきちんとする事をお勧めします。
1.額部分は除外して考えない:この顔形は典型的なノーマルファローです。
2.頭部の禿状の色抜け:たまにファローの羽根にはゆっくりと背中に背骨に沿っ
て、一時的に禿のような斑点(色抜け)が出る傾向が明らかになっています。この斑点はすぐに気付く物ですが、ファローブリーダー達でそれを指摘する人は滅多にいません。
3.Nestfeatherのファロー達は、とてもシルキーな羽根を持っています。

シナモンファローは今日ではとても珍しい種類です。
                      (fallowbudgiesより抜粋   訳:小林道子氏)

http://w1.avis.ne.jp/~hirocafe/columns/index4.html 河端寛司さんに監修して頂きました

http://www.geocities.com/fallowbudgies/news1.htm
から参照及び写真をお借りしました

小林道子氏に翻訳をお願いしました。


*それぞれの写真はイメージを持ってもらうために紹介させて頂いたH・Pからの借り物
 です。詳細は各H・Pでご覧下さい。
*翻訳は直訳です。専門用語は違っているかもしれません。

もしあなたがパステルカラーが好きで、赤目でシルキーな羽根の鳥がお好きなら、
ファローは美しい鳥です。
ゴールデンフェイスオパーリンファローは私のお気に入りのセキセイインコです。とても興味深い組み合わせとしては、いまだかつてまだ数人しか見た事がないというダブルファクタースパングルファローのグリーンかブルーですね。視覚的にはそれらのセキセイインコは伴性のイノの突然変異体に似てはいますが、完璧にそれらとは違う物だと分けられる事を期待したいです。
面白い事に、きっとそれらの鳥がショーでファローとして出品され、その価値を検討される事になるんだろうと思います。そんな時、審判の周りを何をするでもなくブラブラするのは、楽しいかもしれません。
冠毛(巻き毛)のあるファローはセキセイインコ愛好家達の中でも、最もあざけられる対象です。人々はファローの遺伝子が鳥のサイズとタイプを打ち壊してしまい、ファローの繁殖は時間の無駄だと強く主張しています。
これはもちろん、古女房の話と同じで、無知なレベルの話の証明をしているだけだと愛好家達が気付くだろうと思います。

この出版者の目的は、理論上の経験に基づいた実践的なテキストを出版しようとしているのです。ここに書かれている事は、専門家の実質上の意見であって、時々愛好家達の極端な意見に対する非難も見受けられます。

私は専門家達が高いレベルの議論をする上で必要な情報が集められていると期待したいです。しかしながら、どうぞ覚えておいて下さい、裸の王様はとても珍しく、もしあなたのすべての質問に答えが出なくて、少なくともまだ混乱している所があったとしても、それはもっと高いレベルでの混乱だと言う事です。

セキセイインコを愛する人々は一風変わったユーモアがあると知られていると聞いています。
                   (fallowbudgies序文より抜粋   訳:小林道子氏)

ファローという名前はドイツ語の"Falben"という言葉が変化した物である。形容詞"falb"は茶色がかった黄色の馬の毛(Falbe又はFalber)、猫の毛(Falbkatze)、又はセキセイインコの羽の色(Falbe Wellensittiche)の事を言う。
一般的に”ファロー”という言葉は、もっぱら農作物などが育つ時期の間だけ休む事を許された未墾の土地を描写する時に使われる言葉だと信じられてきた。古典的な記憶の問題である。しかしながら、これをセキセイインコの色素の特別な意味について当てはめるのは、ナンセンスである。なぜなら”ファロー”という言葉は又、英語の形容詞で、明るい黄色味がかった茶色(Merian Webster)という意味がある。例えば、淡褐色に白い斑点のある鹿をFallow Deerと呼ぶように。”ファロー”という形容詞は、古代英語の"fealu"に由来していて、その"fealu"は類似の古代高地ドイツ語のfaloに由来しているものである。"falb"という言葉もこの古代高地ドイツ語のfaloから由来した物である。別の言い方をすれば、"Falben"から"Fallow"への言葉の訳は、とても理解しやすいし、今日人々が考えるほど妙ではない。
”ファロー”と言う言葉は、この文章の流れから考えても、耕されていないとか未開
発の土地とかという意味ではなく、鳥の色の事である。
                 (fallowbudgies序文より抜粋   訳:小林道子氏)


*allelicは、allele(対立形質、対立遺伝子という名詞)の形容詞ですから、
 「対立形質の、とか、対立遺伝子の、とかいう意味です。
 nestfeatherは「ヒナ毛」ですから、この場合は「成鳥羽への換羽前の、ヒナ
 毛のファロー個体」という意味です。

   
   日本のファロー達