考察

はじめに ここにはランダムに思いついた事柄を書いて行きたいと思います。
シナモンとグレー シナモンは髄質のメラニン色素の中のグレイを作る色素を壊すといいました。シナモン同士をかけ続けていくと茶色を作る色素も薄くなっていきます。
グレー因子は髄質のメラニン色素が中層の雲細胞まで侵出するといいましたが,この力をかりてシナモンとグレーをかけてメラニン色素を再生して,シナモンの色の濃さを守ります。
バイレット 劣性のブルー因子が2つで発現し,皮質の黄色い色素を壊します。そして,ダーク因子は優性ですが2つで1つの時より大きく雲細胞を凝縮させ青色を濃くします。バイオレット因子も優性ですが2つで1つの時よりも大きく雲細胞を凝縮させる働きをします。そしてこれにより3層になっている下層のメラニン色素層の髄質が膨らみ濃さが増します。これらの作用によりコバルトではないバイオレットが生まれます。
色の濃さと滲み 優性遺伝子同士の交配は特にですが,もちろん,劣性同士の交配であっても速さが違うだけでだんだんと色の濃さが失われていきます。原因はいろいろあるんですがメラニン色素の退化が起こり,反射される光の量が増え,私達の目には薄く感じるようになります。対策としてシナモンの時と同じでグレー遺伝子をかけてメラニン色素の再生を促します。またもうひとつの原因と考えられるダーク因子の欠落に対してはダークグリーン色から持ってくるわけですが,最近,ダーク因子を持ったグリーンが探しにくくなっています。在来種ではなかなかそこまで達しませんが,グレー因子が過ぎると,バイオレットにグレイ色の滲みが加わり暗く感じられ嫌われますし,ダーク因子が2つ揃うと,モーブ,或いはモーブバイレットといい分ける人たちがいます。
ライラック バイオレットの色の構成から下層の髄質の中のメラニン色素のグレイ色を作っている色素がシナモン因子により壊され茶色化します。この作用がより進むと髄質から反射される光の量が増え,目に見える色の白化が起こります。雲細胞のバイオレット色が薄いブルーに見えるようになり,髄質の茶色も薄く見えるようになります。ライラックと呼ばれる色合いになります。メラニン色素のグレイ色が残ると,グレーライラック,ブルー因子の発現が抑えられイエローが残ると,ピンクっぽいライラックになり,これがグレーっぽいのより人気です。
ただ,真のバイオレットを作る際には髄質の茶色化で色が滲むのが嫌われ,シナモン因子は絶対に交配禁止です。逆にライラックを作る場合は,グレー因子が交配禁止となります。
ライラック2 よく,ライラックの確定化にはYFオパ−リン,セルフオパーリンをかけ戻すといわれます。伴性遺伝子同士のシナモンとオパーリンをかけても,シナモンオパーリンにはなりません。それなら,私の上の話はおかしいと言うことになります。実は遺伝子の連鎖により1.2%の確立でシナモン・オパーリンが出来ることがわかっています。大型セキセイではこれが固定化されて,シナモン・オパーリンが普通にいます。もう一つ,バイオレット因子は不完全優性因子だといいました。シナモン・オパーリンと不完全優性因子をかけるとF2で中間種が出ます。バイオレット・シナモン・オパーリンになるかもしれません。別名ライラック・オパーリンとも言います。
よく,ダイリュウトの退色,優性パイドから出たといわれるのはこの別名ライラック・オパーリンと掛け合わせた結果だと思われます。ハルクィーン,ウイングが出てくるのは,劣性因子より伴性劣性因子のほうが優位だといわれ,シナモン・オパーリンを壊さないために使われているのかもしれません。
遺伝子の発現 セキセイの遺伝をかじって巣引きをするが遺伝学どうりの交配結果になることは殆どない。ルチノー(オス)とノーマルグレーグリーン(メス)をかけると,どう間違ってもルチノーが出るはずである。スパングルとオパーリンをかけてオパーリンばかりが出ることはないはずである。だけど,実際は出てくるのです。まるで,天気予報のように当たらないのが遺伝学の交配結果の計算です。
ノーマルグレーグリーンとオパーリンはインブリーディングを繰り返し完全固定化がなされた結果,血が濃くなり,このような交配結果を生み出したと思われます。
このインブリーディング,セキセイでは6代までは父娘関係以外なら許されると識者は言います。個性の遺伝が品種の遺伝子の発現にまで影響するんでしょうか。
何はともあれ,交配結果を考察するには頭に入れておく必要がありそうです。
斜頸は病気? ここのところ,コロに悩まされていろいろ投薬なり,漢方なりを処方しながら,器具や鳥本体の殺菌などを施しています。コロは簡単には消せませんが,ふと,気付くと斜頸が1羽も出ていません。中止雛も1羽も出ていません。
ある人は斜頸は病気で大きくなっても巣引きが下手だといいます。1ヶ月もすると分からなくなるケースが殆どであるために気にしませんでしたが,原虫か菌に犯されているのかもしれません。ショーバードでは頭の小さい鳥は対象外ですが,頭の大きい鳥は体格もよく,斜頸の鳥は頭が小さいのが多く考えさせられる現象です。
常染色体複対立劣性遺伝子のイノ 鳥類の突然変異遺伝子を紐解いているとnon sex linked ino の存在をどこでも書いてあります。優劣でいくと伴性遺伝子のイノより下位ということになります。
イノだファローだと退色遺伝子を選別しています。また,ダイリュウート,ダークアイドクリア,ミヤコセキセイ,パステル或いはクリアなドミナントパイドそしてハルクィーン,レースウイング,スパングルBYダブルファクターなどと退色した鳥はいろいろ知られています。ただ,これだけは実際にはもちろんのこと,理論的にもどの鳥のことをいっているのかさっぱり分かりません。複対立遺伝子の鳥を選別の際に混同している可能性があり,また,セキセイに実際にいるかどうかも分かっていない。
赤目の考察
 (川端氏)
http://w1.avis.ne.jp/~hirocafe/columns/jushi6-2.html
イノ遺伝子はチロシンを酸化させるチロシナーゼを完全に不活性化させてしまうために、メラニン(ユーメラニンもフェオメラニンも)を根本から作らないのに対して、ファロー遺伝子はユーメラニン(黒色素)が形成される過程のある部分で作用するので、フェオメラニン(褐色)は(ほぼ)正常に作られ、ユーメラニンだけが著しく減少しているのでしょう。だからファローでは、薄まってはいるものの灰褐色の斑紋が発現するのです。実際にファローを繁殖させてみると、羽毛が生えてくる初期の段階では、斑紋は褐色で、次第に黒さが加わって行きます。イノとファローの目の赤さ違いをいわれる方がいますが、イノとファローではメラニンの欠如あるいは減少の仕方が違うことが、その理由なのでしょう。またそれ以外に、目の網膜でのメラニンの欠如・減少の仕組みは、羽毛での仕組みとは違っているのは確かです。
生体内部ではメラニンが形成されていても、羽毛の随室にその貫入がない場合は、ダブルスパンのように羽毛ではメラニンは欠如しますが、目の網膜ではヒナの初期の段階を除いて、徐々にメラニンが蓄積して、最終的にはほぼ黒目になります。黒色を欠如させるシナモンと、黒色・褐色を薄めるダイリュートやクリアウィング、さらに褐色をグレーに転化させるグレーなど、「メラニンを薄める方向で変化させる形質」を複数組み合わせても、完全な赤目にはならない…日本での既知の遺伝子で考えた場合、赤目を伴う変異遺伝子はイノ遺伝子とファロー遺伝子だけではと私は考えます。